パートタイム労働法改正~均等待遇のインパクトは想像以上に大きい~
2014年09月29日

今年4月に改正となったパートタイム労働法の施行日が来年4月1日となりました。念のため内容は、以下の5点です。

I 正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者の対象範囲の拡大
II 「短時間労働者の待遇の原則」の新設
事業主が、雇用するパートタイム労働者の待遇と正社員の待遇を相違させる場合は、その待遇の相違は、職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない
III パートタイム労働者を雇い入れたときの事業主による説明義務の新設
IV パートタイム労働者からの相談に対応するための事業主による体制整備の義務の新設
Ⅴ虚偽報告等に対する過料、厚生労働大臣の勧告に従わない企業名の公表

今後均等待遇についての対策を考えていく上でのポイントとなるのは、2番の「不合理と認められるものであってはならない」という部分です。待遇というのは、賃金や福利厚生等の労働条件を指しますが、待遇に格差をつける必要がある場合の賃金幅についても合理的な範囲でなくてはなりません。このことを考える上で、非常に注目度の高い判決が昨年出ています。均等待遇違反についての初となる判決です。
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<ニヤクコーポレーション事件 平成25年12月10日 大分地裁判決>
タンクローリーのドライバーで、一日当たりの労働時間が1時間短い準社員と正社員とが、賞与額が大幅に異なる点、週休日の日数が異なる点、退職金の支給の有無が異なる点は、パート労働法8条1項に違反するとされた。→福岡高裁へ控訴中
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契約社員には賞与・退職金なしとしている企業は多いと思いますが、配転・転勤の実際の運用が正社員と異ならないという判断により敗訴となりました。自社の制度と運用を細かく見直す必要があると感じた経営者、社労士はかなり多数に上ると思われます。